解熱剤としてのアセトアミノフェン

vol.2 薬剤師さんに聞いた

解熱剤としての
アセトアミノフェン

発熱ってどういう状態?

解熱剤を飲むとなぜ熱が下がるの?

解熱剤はどんなときに使うの?

など、発熱や解熱剤としての
アセトアミノフェンについて解説します

発熱は、私たちにもともと備わっている大切な生体防御反応です

  • 何度以上なら「発熱」? 体温を測ったとき、37℃の数値を見ると、「あれ? 熱がある!」と思う方もいるのではないでしょうか。しかし、実は発熱とは「普段よりも体温が上昇した状態」のことで、厳密に数値が定められているわけではありません。
    普段の体温(平熱)は人によって異なりますが、10~50歳代の日本人約3,000人の平均体温(腋窩温)を調べた研究*1では、約7割の人が36.6~37.2℃(36.9±0.3℃)の範囲に収まっていました。つまり、普段から体温が37℃くらいの人は、実は少なからずいると言えます。
    このように、本当の発熱を知るためには、自分の平熱を知っておくことが大切ですが、日本人の平均値等を考慮して、医療現場では概ね37.5℃以上を発熱とみなしています。また、感染症法上の届出基準*2でも、37.5℃以上を「発熱」、38.0℃以上を「高熱」と定めていることから、やはり発熱の目安としては「37.5℃以上」と考えておくのがよさそうです。
  • 発熱はどういうときに起こる? 急に起こる発熱の多くは、ウイルスなどの病原体が体に侵入してきたときにみられます。

    ウイルスなどによる感染が起こると、脳が体温の設定を高温になるように切り替え、発熱が起こります。体温が高いとウイルスの増殖が抑えられ、また白血球などの免疫にかかわる細胞が活性化されることから、ウイルスとの戦いを有利に進めることができます。

    つまり、発熱は私たちの体にもともと備わっている、大切な生体防御反応であると言えます。

解熱剤の主な役割は、熱による不快な症状を軽減することです

  • 解熱剤を使うのはどんなとき? 発熱は正常な生体防御反応である一方で、発熱に伴って起こるだるさや寝苦しさなどの症状が体の負担になる場合もあります。

    こうした際には解熱剤を使用し、高くなった熱を一時的に抑えることで、熱によるつらい症状を緩和することができます。つまり解熱剤を使用する主な目的は、熱を下げることそのものよりも、発熱に伴う不快な症状を軽減することです。

  • アセトアミノフェンの解熱のしくみ アセトアミノフェンは、主に脳にある体温調節中枢に作用し、血管や汗腺を広げることで体外へ熱を逃し、熱を下げる働きをもちます。

    アセトアミノフェンは、解熱剤として100年以上にわたって世界中で使用されている成分で、医療現場でも広く使用されています。医療用として医師の判断の元で用いられる場合には0歳から使用が可能であるほか、妊婦さんや授乳中の女性に対しても用いられています*3-5。

  • 解熱剤のさまざまな種類 解熱剤として用いられている薬剤は、アセトアミノフェン以外にもいくつかの種類があります。解熱剤として日本で広く使用されている成分としてはアセトアミノフェンのほかに、ロキソプロフェンやイブプロフェン、アスピリン、エテンザミドなどがあります。これらは、アセトアミノフェンとは解熱のしくみが異なり、使用可能な年齢や注意点にも違いがあるため、使用の際にはその都度、説明書(添付文書)をよく確認しましょう。

アセトアミノフェン製剤を安全に使用するために、知ってほしいことがあります

解熱剤としてのアセトアミノフェンについて解説してきましたが、使用に際しては特に次のことに注意してください。

  • 服用前後の飲酒、長期連用、ほかの解熱鎮痛剤との併用は避けましょう 肝臓への負担を避けるため、服用の前後や服用中は飲酒を避けましょう。

    解熱剤は、熱の原因そのものを治療するお薬ではなく、あくまで症状を緩和するお薬です。自己判断で長期間使い続けたりせず、発熱が長引く場合には必ず医師に相談しましょう。

    市販の解熱鎮痛剤や風邪薬にはアセトアミノフェンを配合したものが多くあり、併用すると、時に過量服用となって副作用が出やすくなるおそれがあります。ほかの解熱鎮痛剤や風邪薬との併用は避けるようにしましょう。

  • 解熱剤を発熱予防のために使用することはお勧めできません 先にもお伝えしたように、解熱剤を使用する主な目的は、体温を平熱まで下げることではなく、高くなった熱をお薬で一時的に抑えて、発熱に伴う不快な症状を軽減することです。そのため、発熱を「予防」する目的で解熱剤を使用することはお勧めできません。

解熱剤としてのアセトアミノフェンや、その使用に際しての注意点をお伝えしました。発熱は不快な症状ですが、体にとっては大切な防御反応です。発熱の際は無理をせず、水分をよくとって体を休めるとともに、必要に応じて解熱剤を上手に活用していきましょう。

【監修】宮原好美さん(薬剤師)

《参考文献》
*1 田坂定孝ほか:健常日本人腋窩温の統計値について. 日新医学, 1957; 44-12: 635-8. *2 厚生労働省:「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1項及び第14条第2項に基づく届出の基準等について」の一部改正について(平成25年9月30日) *3 カロナール®錠、カロナール®坐剤 添付文書 *4 日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会:産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020.P71. *5 国立成育医療研究センター:妊娠と薬情報センター「授乳中に安全に使用できると考えられる薬